クリア 〜熱〜
「・・・いたっ!」
首筋の辺りに唇が触れたかと思うと、噛み付かれた。
血が出るほどではないが、それでも痕は残っただろう。
イザークはレイの体を押しのけようとするが、意外に屈強だ。
・・・気付かなかった。
数ヶ月前はどこか華奢な印象があって随分子供に見えたのに、いつの間にか背が伸びて歳相応の体つきになっている。
「・・・ッ、どけ!・・・あっ」
噛み付いたかと思えば、今度は下を這わせ始めた。
本当に、慣れている。
不愉快、ではなかった。
体は素直に反応する。
これでは自分が経験者などと偉そうなことは言えない。
ただ相手を受け入れることで精一杯になっていた。
レイの手が、僅かな抵抗を示すイザークの体を押さえ込んでワイシャツを脱がせる。
もともと楽な服装をしていたので簡単なことだった。
ズボンに手を伸ばすと、イザークは再び抵抗を再開する。
逃れようとする足を自分の足に絡ませると、服越しに伝わる互いの体温がとても高かった。
「・・・熱い」
耳元でささやくと、イザークの体がぴくりと跳ねる。
そのままズボンに手を進入させると、小さく悲鳴を上げて腰を引いた。
中心を掴みながら、もう片方の手は胸の上へ。
互いに、ほとんど無言だった。
時折イザークの嬌声とも悲鳴ともつかぬ声が唇から漏れる程度だ。
やがて互いの額に汗がにじむ頃、イザークは完全に抵抗を諦めたらしい。
掴まれていた肩を握る手の力が緩むのを感じ、レイは顔を上げる。
イザークの蒼い双眸が自分を見上げていた。
銀糸の髪はシーツに乱れて散り、白磁の頬はほのかに赤く染まっている。
あらわになった胸は汗ばみ、上がった息のために僅かに上下していた。
美しい体だ。
痩せているために多少骨が突き出ているのは惜しいが、全体的に引き締まっている。
イザークが大人しいのをいいことに全裸にした。
現れた白い肢体は、危ういほどの艶を放っている。
それに見入っていると、突然イザークがレイの後頭部をぐいっと掴んだ。
そのまま自分の方へとひっぱってくる。
あまりじろじろ見るな、ということらしい。
それでもイザークの方から抱きついてきてくれたことが嬉しくて、頬をすり合せる。
そのまま、唇を合わせてキス。
何度も、何度も。
静かな室内に衣擦れと、濡れた音が響く。
滑り込まされた舌で口内を散々に蹂躙され、イザークは空気を求めて喘いだ。
その間にも奥へと手を伸ばしていく。
太ももの内側をなでると、嫌がって首を乱暴に振る。
ようやく唇が離れた。
「お・・・前・・・、もうっ」
ヤメロ、と言いたかったのだろうか。
しかしレイが首筋に吸い付いて歯を立てると、それは声なき声に変わった。
どうせ最後まで聞いても言う通りにはできないのだからかまわない。
そのまま胸に、首に口付け、舌を這わせる。
こわばるイザークの、体を奥を探った。
「・・・ヤッ!」
最奥に触れられ、白い肢体がびくんと跳ねる。
それまでレイの背中で組まれていたイザークの手が、再び抵抗を示した。
肩を掴んで体を引き離そうとする。
・・・無意識だろう。
レイはそれを無理矢理押さえつけると、アイスブルーの瞳がいっぱいに見開かれる。
・・・不思議な感覚だった。
初めてイザークを目にしたとき、美しい銀髪よりも、整った容姿よりも、
何よりもレイを魅了したのはこの二つのアイスブルーだった。
今、この瞳に自分だけが映っている。
「・・・ああっ!!」
片足を高く抱え上げ、イザークの中に進入する。
背中が弓なりにしなった。
それ以上はもう声にもならないのか、唇からは空気を震わせるような音が漏れるだけだ。
「きつ・・・」
レイの額にも汗がにじんだ。
充分に慣らしたといえないそこへ、それでも奥へ、奥へと進入する。
刻み付けたかった。
他の誰も届かない所へ、自分の痕跡を残したかった。
「イザーク・・・」
顔を覗き込んで名前を呼べば、うっすらと開けられた双眸がレイを映してくれる。
その瞳は、艶めいた光を放っていた。
イザークの両手をシーツに縫いつけたかと思うと、レイは瞬間的に腰を引く。
「あっ・・・!」
体が軋み、激しい痛みと快楽が同時に襲った。
思わず漏れてしまった女のような声に、イザークが驚いた顔をする。
これ以上の声を抑えようと口元に伸ばされようとする手を遮り、レイはまた身体を揺さぶる。
声を漏らすまいと唇を噛み締めるが、それもすぐにかなわなくなる。
濡れた接合音とともに、イザークの高く湿った声が部屋に響いた。
耳をふさぎたくなるようなその音に、たまらず首を振る。
頭の芯が、ぼうっとする。
もう、痛みはほとんどない。
秘部は出血しているのだろう。
挿入の動きが滑らかになってきている。
快楽だけがダイレクトに腰から背中に伝わり、そこがじんじんとしびれて異様な熱を放った。
―――熱い・・・。
背中だけではない。
相手が掴んでいる手首も、絡み合っている足も。
触れたところ全てが火傷しそうな熱を持っている気がした。
イザークは一心不乱に腰を打ち付けてくるレイを、どこか遠い意識の中で見つめていた。
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