特にオチのない話(メイリン編1)
◆ メイリンの悩み ◆
「ダマされたわ・・・」
赤い髪をツインテールにした少女・・・メイリン・ホークは、搾り出すような声でそう言った。
どこにでもある、ありふれたファミリーレストランの窓際の禁煙席。
ウェイトレスの「いらっしゃいませー」というさわやかな声が響き渡る中、
テーブルに突っ伏して低いうなり声を上げるメイリンに、向かい側に座るカップルが視線を泳がせる。
するとしびれを切らしたようにメイリンが二人をきつく睨んだ。
「ねえ聞いてる?あたし、ダマされたのよ?」
すると、目の前にいるショートカットの美少女が息を吐く。
「そう。それは災難だったわね」
「・・・おねえちゃん、相手が誰かも聞いてくれないの?」
「だって、キョーミな・・・んぐっ」
「はいはい。誰に騙されたのよ、メイリン?」
ルナマリアは余計なことを言いそうなボーイフレンド・・・シンの口を手でふさぐ。
そして妹のご所望の言葉を口に乗せたが、そっけなさまでは拭えなかった。
だがそんな態度を気にする様子も無く、メイリンは待ってましたとばかりに鼻息を荒くする。
「アスランさんよ!」
「・・・」
「・・・はあ」
メイリン・ホークいわく。
自分はアスランを信じ、脱走という最大の軍機違反を犯した身である(戦後某ピンクのおかげでチャラになった)。
その時は夢中だったものの、彼は自分こそを必要としていると感じた。
顔が良く、エリートで、大人っぽいアスランがカレシだったらいいなとメイリンも思っていたのだ。
オーブへと匿われた後、アスランは都合よくオーブの女首長と破局。
さらにコペルニクスではアスランに積極アプローチしていたピンクの偽者も銃弾に倒れ、
メイリンは晴れてアスランの恋人になれるはずだった。
はずだった・・・のである。
「スペシャルエディションのエンディング見たでしょ!?どう見たってアスランさんとあたしがカップルなのよ!
HGIFガンダムキャラクターズ(フィギュアのこと)だって、アスランさんの相手はあたし!あたしだったのよ!!」
メイリンは大声でそうまくし立てると、オーダーされたチョコレートパフェを一気に口の中にかき込んだ。
そんな彼女に圧倒されつつ、シンとルナマリアは少し冷めてしまったコーヒーをすする。
メイリンの口にしていることははっきり言って支離滅裂だったが、
でもまあ・・・それでも何となく話は見えてきた。
つまり。
「アスランにフラれたんだろ」
きっぱりと言い切ったシン。
だが。
メイリンにぎろりと睨まれカップを取り落としかけた。
・・・怖い。
「違う・・・ッ。あたしはフラれてなんかいないわ!」
「で、でも裏切られたって・・・」
「そうよ!」
メイリンはばんっ、とテーブルを両手のひらで叩く。
そしてレストランの客全員が注目する中、甲高い声で言い放った。
「アスランさんは、ホモだったのよ!!」
2006/12/06
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