セイレーン・セイレーン 05

暗転



 「その様子だと仲直りしたみたいだな」
 艦で自分たちを出迎えたフェイに、その様子とはどんな様子だとイザークはにらみつけた。

 艦に人通りは全くない。
 隊長のイザークと艦長のフェイの他にはシホ、マニ、キキ、マックス、
 そして副艦長を含めた必要最低限のクルーが数人いるだけだ。
 他の乗員は港の管理ポートに避難させている。
 安全のためもあるし、あまり乗員が多いとまた侵入者を許してしまうからだ。
 
 「カタリナはどうしている?」
 まずカタリナの様子を聞いたイザークに肩をすくめたフェイは、ちらりとシホに目をやる。
 それに気付いたシホは視線をそらしてしまった。
 ・・・完全に解決したわけではなさそうだ。
 「元気でやってるぜ。キキが面倒見てる」
 「キキが?」
 「そうそ、すごーくかいがいしくな」
 「・・・」
 喉の奥で笑いながら言うフェイに、二人は顔を見合わせた。
 

 「食えよ、食えって言ってるだろ!」
 「いらない!!」
 「あーー、もうっ!お前が食べてくれなきゃ僕が隊長に怒られるだろ」
 「知らない、イザークがいい!」
 「隊長を呼び捨てするな!!」
 「イザークがいい、イザークーーー!!」
 
 「・・・」
 「かいがいしいだろ?あいつにしては」

 医務室で繰り広げられていたのは熱気さえ感じさせる押し問答だった。
 中に入ってきたイザークたちにさえ気付かず、キキとカタリナが金切り声で言い合っている。
 どうやらキキは食事を食べさせようとし、カタリナの方はそれを断固拒否しているようだ。
 今にも飛び掛りそうなカタリナに対し、口だけにとどめているあたりキキはかなり我慢している。
 そろそろ限界のようだが。

 「おーい二人とも、イザークが来たぞーーー」
 フェイの「イザーク」という言葉に反応し、ばっとものすごい勢いで二人の顔がこちらに向けられた。
 ある種の迫力にイザークとシホはたじろぐ。
 「イザーク!」
 ぱあっ、と顔を輝かせ、カタリナがイザークを呼ぶ。
 と、対抗するようにキキがイザークに飛びついた。
 「たいちょ〜」
 「・・・あ、ああ。ご苦労」
 「ずるい、ずるいーー!」
 ベッドから動けないカタリナがじだばだともがく。
 それに対しキキが舌を突き出して挑発するものだから、発作を起こした時のように暴れ出した。
 「こら、カタリナ!」
 キキを引き剥がしたイザークがやめさせようと慌てて近くに寄る。
 放り出される形となったキキが面白くなさそうな顔をすると、お返しとばかりにカタリナが舌を出した。
 
 フェイはと言えば、うちの隊長はもてるねぇなどと言いながらにこにこと笑っている。
 面白がっている天邪鬼な同僚の足を、シホは思い切り踏みつけてやった。
 




 「司令部から使者が来ている?」

 フェイの報告に、イザークはあからさまに眉をひそめる。
 「どうしてそんな重大なことを早く言わん」
 「多分そいつ、お前があんまり会いたくないやつだと思うぜ」
 「・・・はあ?」
 「ま、会ってみれば分かると思うけど」
 肩をすくめながら言うフェイが視線で示した先を追いかければ。
 今回の「見せ掛けの」任務の始まりとなった金髪の少年が、通路の途中で立っていた。


 「よくもまあそんな平気な顔をして立っていられるものだ」
 「・・・」
 「貴様、殴られても文句は言えないんだぞ」
 「なら殴ればいいでしょう。それであなたの気が済むなら」
 淡々と言い返したレイ・ザ・バレルに、イザークは言葉をつまらせる。
 確かにこの少年を殴ったところでなんの解決にもならない。
 真実を伏せてジュール隊に任務を持ってきたのだって命令なのだろうから。
 「・・・分かった。それで?ここにきたのは今度こそ本当のことを教えに来たからか?それともまた偽の情報で俺たちを躍らせる気か?」
 レイの空色の瞳が僅かに揺れた。
 全く感情がないわけではないらしい。
 次の瞬間には無表情とよどみのない口調が戻っていたが。
 「私は別に偽の情報を教えたつもりはありません。麻薬の疑惑があるのは本当です」
 「・・・麻薬というより強化人間に必要な薬、だろ?」
 「同じですよ」
 「分析するとそういう成分も混じっているらしいな。
 でも貴様、そんなことを討論したくて本国からわざわざ俺の顔を見に来たわけじゃないだろう?」
 すると意外なことに、今度こそレイの顔が怒りの表情を浮かべた。
 「・・・ええ!来たくて来たわけじゃありませんよ。通信が使えなくなったというから・・・ッ」
 ということはイザークが送り出した使者に預けるわけにはいかない内容を持ってきたということだろう。
 それで?と無言で促すと、レイは落ち着きを取り戻したものの、憮然とした顔をした。
 「司令部は・・・強化人間の情報が欲しいようです。できれば・・・被検体を手に入れたい、と」
 「・・・それはもしかしてカタリナのことか?」
 「・・・」

 無言でイエスと答えたレイに、イザークは大きなため息をつく。
 上層は強化人間をモノ扱いということか。
 あんな小さな少女が進んで薬漬けの過酷な道を選んだとは思えない。
 彼女以外の強化人間だってそうだろう。
 彼らだって被害者だと言うのに。
 だが、そんなことをレイに言ったところで意味がない。
 それに、この少年が今自分で言った内容に嫌悪を感じているのはうっすらと分かった。

 「今は無理だ・・・。この艦は航行できないし、シャトルに乗せるとなると検査を受ける」
 検査でカタリナが見つかってしまえば厄介なことになるのは容易に想像できた。
 ラリッサが、彼女のことを行方不明で捜索していた民間人だとでも証言すれば、本国を巻き込んだ国際問題になる。
 そのことはあらかじめ承知していたのか、レイは神妙な顔で頷く。
 「承知しています。
 ですから・・・このコロニーで連合でも行われていた人体実験が存在することを突き止めていただきたいんです」
 「・・・無論そのつもりだが。こっちもぼろぼろでな」
 「こちらの不手際で隊員の方を負傷させたのはお詫びします」
 そう言って頭を下げたレイに、イザークは面食らってしまった。
 まさかメイズのことで上層が責任など感じるわけないと思っていたのだ。
 人体実験の被害者となった子供にはなんの感情も抱かないというのに。
 いや、もしかしたらこの少年だけがそう感じているのかもしれない。
 そんなことを考えていると、レイは顔を上げてこちらを見上げてきた。

 「カタリナ、という捕虜に会わせてください。話をしてみたい」


 カタリナは医務室に入ってきたレイをものめずらしそうに見つめた。
 青灰色の瞳を瞬かせて首をかしげる仕草はかわいらしい。
 「だれ?」
 「レイだ。・・・カタリナだね、はじめまして」
 はにかむように笑ったレイの顔を見て、イザーク初め傍にいたシホたちも唖然とする。
 ・・・ありない。
 それが全員の感想だった。
 レイはしばらくカタリナと和やかに談笑する。
 気分はどうか。
 食事は取れているか。
 不自由していることなないかなどありふれた問答だったが、レイの綺麗な容姿がよほど気に入ったのか、
 カタリナはイザークに対する時のように素直に答えていた。
 やがてレイは医師と何事か言葉を交わすと、カタリナに向き直る。
 「それじゃあ俺はもう行くから」
 「行っちゃうの?」
 「仕事があるんだ。でも・・・カタリナが俺の国に来ればいい」
 「来てもいいの?」
 「ああ。待ってるから」
 

 後をキキとフェイに任せ、イザークとシホは医務室を後したレイを追いかける。
 と言ってもどう言葉をかけて良いものかと視線を泳がせた。

 「・・・お前、子供好きなのか?」
 「嫌いではありません」
 「・・・」
 すると横からシホが口を出す。
 「隊長だって人のこと言えないじゃありませんか。カタリナ相手だと態度が全然違います」
 「シホ・・・お前、まだ」
 言いかけようとしたイザークから、シホがぷいっと顔をそらす。
 納得はいかないものの、部外者のレイの手前みっともないこともできず、
 イザークは押し黙るしかなかった。
 
 



 怪我の治療も終わり、ひとまずは強化された体の心配もなくなったカタリナは、医務室を移動した。
 医務室にいつまでも置いておくわけには行かないし、かといって今のままでは外に放り出す事はできなくなったからだ。
 イザークに加えレイがもたらした上層からの許可も下り、ベッドにくくりつけられていたカタリナへの戒めは軽くなっている。
 さすがに手錠をはずすことはできなかったが、自分で上体を起こすことはできるし食事程度なら一人でできる。
 足にも枷がついているが、繋いである鎖も部屋全体を歩き回る広さがあった。


 「カタリナはさっきの兄ちゃんが気に入ったのか?」
 フェイにミネラルウォーターを手渡してもらいながら、問いかけられたカタリナは青灰色の瞳をきょろっと向けた。
 この艦に運び込まれてから三日。
 ようやくイザーク以外の人間にも慣れ始めている。
 最初は「さっきの兄ちゃん」が分からなかったようだが、数時間前に邂逅したレイのことだと言うと、首を大きく縦に振った。
 「うん。『同じ』だもの!」
 「同じ・・・?何が?」
 「・・・」
 思わぬ返答に聞き返せば、カタリナまでもがきょとんとした顔をする。
 自分で自分の言ったことに驚いているようだ。
 「レイとカタリナはどこが同じなの?」
 優しく聞いてみても、カタリナはますます困惑した様子で「どうしてだろう・・・」とつぶやくだけだった。
 「イザークも同じ?俺たちは?」と聞いてみると、イザークたちは『違う』と答える。
 どういう根拠なのかは分からないが、とにかくカタリナとレイは『同じ』で、他の人間は『違う』らしい。
 結局そこにキキが入室してきたことで、その話はそれで終わった。
 
 入ってきたキキは、カタリナを視界に入れるなり思い切りにらみつけてきた。 
 ちなみにカタリナに特別に与えられたのはキキの個室である。
 代わりにキキはメイズが使っていたマニとの二人部屋に移ることになった。
 カタリナに部屋を横取りされる形になり、機嫌が悪いのだ。
 しかしキキのそんな心情など知る由もないカタリナは、またいじわるされるのかと果敢にキキを睨み返した。

 険悪な雰囲気に、フェイはため息をつく。
 彼から見れば、おもちゃを取り合うレベルの小学生の喧嘩なのだが・・・。
 「何しにきたんだ、キキ」
 「・・・忘れたもの取りに来たんだよ。歯ブラシとか」
 「じゃあ早くしろよ」
 言外にまたカタリナと喧嘩するなと伝えると、金の瞳がぎろりと向けられる。
 子供扱いするなとでも言いたげだ。
 物騒なそれに手を上げて降参を示しながらも、やはりカタリナと衝突させるわけには行かない。
 カタリナの凶暴性は前回の件で証明済みだし、キキだって正規の軍人だ。
 自分が艦長となった艦で殺し合いなどされてはたまらない。
 まあキキとてそこまでしないだろうが・・・。
 とフェイが勝手なことを考えている間に、キキはカタリナを牽制しながらも洗面所に向かう。
 カタリナもイザークに何度か釘を刺されているので大人しくしていた。
 その様子を見守るフェイが安堵の息を吐きかけたとき。


 自動のはずのドアが、爆音と共に消滅した。

 

 本国へと戻るレイとぎりぎりまで話し、彼のシャトルを見送った後、イザークは一日半ぶりの休憩を取るために自室へ向かっていた。

 廊下を曲がろうとして、キキの部屋へと移ったはずのカタリナの様子を見に行こうかどうか迷う。
 しかし結局思いとどまった。
 カタリナは交代で面倒を見ることになり、ひとまずはフェイが引き受けてくれている。
 彼女もフェイの陽気な雰囲気に気を許したのか、イザーク以外では真っ先に彼に懐いた。
 フェイならば責任を持って彼女の面倒を見てくれるだろう。

 それに、カタリナを見るとイザークはどうしても彼女をかまいたくなってしまうのだ。
 「似過ぎてるんだもんな・・・」
 らしくなく、独り言が漏れる。
 カタリナは、幼い頃に生まれてきてくれると信じていた想像上の妹の姿そのままだった。
 青系の瞳に白い肌、ややウェーブのかかった淡い金髪は光を通すと白金に見える。
 二人並ぶと本当に兄妹みたいだな・・・とフェイも驚いていた。
 だが。
 自分でも思うがそれは「ちょっとアブない人」だ。
 結局はイザークの妹は生まれる前にいなくなってしまってその顔は永遠に知れないし、第一もう十数年前のこと。
 ディアッカがいたら間違いなくロリコン扱いされるだろう。

 と、本国に置いてきた軽口の多い親友兼部下のことを思い浮かべ、顔を歪める。
 自分たちはこれほど大変な思いをしているのに、
 今頃女の子とへらへら笑いながら仕事をさぼっているに違いない・・・と勝手に決め付ける。
 「ディアッカめ・・・八つ当たりされるくらいしか能がないくせに・・・ッッ」
 ぐっと拳を握り締め、忌々しげにつぶやく。
 彼を本国に残してきたのは他ならぬイザークなのが・・・。
 「ぶっ飛ばす」
 ともあれ。
 イザークの中で、国に戻ったらディアッカを一発殴ることが決定した。

 それだけでいささかすっきりしたイザークが自室に入ろうとしたとき。


 爆音が鼓膜を突き刺した。





 爆風に叩きつけられ、数秒の間気を失っていたらしい。
 はっと顔を上げた時、部屋の中が一変していた。

 ロケット弾でも打ち込まれたのか、壁に大穴があいている。
 ソファはドアのすぐ左脇に置かれていたので、フェイたちは三人とも隅の方に吹き飛ばされていた。
 それゆえフェイも、傍で倒れているキキとカタリナも大した怪我はしていない。
 キキはとっさにカタリナをかばったらしく、彼女の小さな体の上に覆いかぶさっていた。
 二人とも気を失っているようだ。
 「キ、キ・・・ッ」
 呼びかけ起こそうとしたフェイは、あげかけた声をとっさに飲み込んだ。
 足音。
 仲間のものではない。
 この爆発に驚いて駆けつけてくれたのなら、自分たちの名前くらい呼ぶはずだ。
 無言のそれが、部外者だということを知らしめた。
 爆撃だけでは足りないのか、それだけ殺したい人物がこの部屋にいるということだ。
 自分か、キキか、それともあの少女か。
 運よく倒れた棚とソファが身を隠し、侵入者はまだフェイたちの位置に気が付いていない。
 軋む体に鞭打ち、仕込んだナイフを取り出す。
 うかつなことに銃は自分の部屋だ。
 ナイフ一本で、イザークたちが駆けつけてくれるまで何とかするしかない。
 
 侵入者は部屋中を歩き回っている。
 三人・・・いや、四人か。
 そのうちの一人の足音が、こちらへと近づいてきた。
 「!!」
 タイミングを計り、壁代わりになっていたソファを思い切り蹴り飛ばす。
 計算通り、そのソファは銃を持った男を直撃した。
 部屋にいた他の三人も驚いたようにこちらを振り返る。
 ザフトの緑の軍服をまとっているが、知らない顔だ。
 どうやって隠していたのか、物騒な銃をそれぞれ持っていた。
 不測の事態に向こうの反応が遅れた隙をつき、ソファにぶつかってひるんでいた男の背中を突き刺した。
 最低一人でも生きていればいい。
 今のこの状態で、相手の生死を気にしてやる余裕などなかった。
 ようやく我に返った侵入者が銃を構える前に懐に入り込み、また一人の喉を掻っ切る。
 これで二人。
 しかし相手もいつまでも呆けているわけがない。
 広い部屋とはいえ相手との距離は2メートル弱。
 一度銃を構えられれば逃げ場は限られる。
 向けられた散弾銃を視界に入れ、フェイはとっさに絶命させたばかりの男の体を盾にした。
 ダダダダダ・・・と鼓膜を破りそうな音と共に目の前にかざした男の体が魚のようにはねる。
 思った以上のその威力にこのままではまずい、と感じた時、太ももに熱いものが走り、力が抜けた。
 「・・・ッ!」
 撃たれた・・・と理解した時にはすでに床にくず折れていた。
 
 「フェイ、キキ!!」
 
 イザークが部屋に入ったとき、部屋には火薬の匂いとむせるような血の匂いが充満していた。
 普通なら息をつまらせてしまうそれにも、目の前の光景に意識を奪われたイザークは気にしている余裕すらない。
 足を血まみれにしてうずくまっているフェイに銃を向けている二人の男。
 頭にかっと血が上った。
 向こうも予想外に早く飛び込んできたイザークに驚いて銃をこちらに向けようとする。
 ぱんっ、ぱんっ。
 乾いた音が響いた後、倒れたのは侵入者の方だった。
 

 「おいフェイ、大丈夫か?」
 「だ・・・いじょうぶ・・・・痛いけど」
 侵入者を片付けると真っ先にフェイに駆け寄る。
 太ももが銃弾をかすめて出血が多いようだが命に別条はないだろう。
 ほっとしたところでようやくシホたちが駆けつけてきた。
 「こんどはなん・・・うわぁぁあっ!フェイ、血・・・血ぃーーー!」
 部屋の中の惨状にマニが顔を引きつらせる。
 ドアは壊れ、奥の壁には穴が空いて煙をくすぶらせていた。
 足を血濡れにしているフェイはもちろん、床に転がる緑服を着た男たちの死体にシホとマックスも息をのんだ。
 「マックス、フェイを医務室に・・・いや、隣の部屋に連れて行け。これくらいならお前でも手当てできる」
 「あ・・・はいっ」
 名前を呼ばれたマックスが部屋の臭気に息をつめながらフェイの肩を抱く。
 顔をしかめて立ち上がりながら、フェイは顎で部屋の隅を指した。
 「そこに・・・キキと女の子がいる。二人とも無事だ」
 「分かった」
 イザークが指示する前にシホがそちらに向かい、二人を引き上げる。
 キキは丁度目を覚ましたところだったらしく、うめき声が聞こえた。
 それを確認し、イザークは四人の侵入者を見回す。

 あれほど注意していたのに、どうして進入を許すことになったのか。
 ザフトの軍服をまとっていること、そしてこの艦に武器を携帯したまま入り込んだことからも、
 中に手招きした人間がいるとしか思えない。
 四人のうち二人はフェイが、一人はイザークが眉間を撃ち抜いて殺していたが、
 一人は急所をはずしてやったので生きていた。
 僅かに身じろぎしている男を認め、イザークは思い切りその頭を蹴りつける。
 ごっと鈍い音がし、生き残った男は気絶したのか動かなくなった。
 「・・・ちょ、隊長!?」
 イザークの思わぬ行為にマニがぎょっとして声を上げた。
 「麻酔代わりだ」
 「・・・八つ当たりじゃなくて?」
 「それも含む」
 「・・・」


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