特にオチのない話(メイリン編2)
◆ アスラン ザラ ハ ホモ ダッタ ◆
レストランの中心でホモを叫んだメイリンに、店内の従業員と客たちが固まったのは言うまでもない。
ところが。
一番驚いて然るべき二人・・・メイリンの目の前にいるシンとルナマリアはただ呆れた顔をしてるだけだった。
たまげてひっくり返るだろうと踏んでいたメイリンは困惑する。
「・・・ねえ、もうちょっと驚いてくれない?」
伺うように言っても、二人の表情は変わらない。
そして口を揃えた。
「今更じゃん」
「今更よね」
「な・・・ッ、なに!?二人とも知ってたの、アスランさんがホモだって!」
「・・・っつーか、気付かないほうがおかしくない?」
「あの人、ミネルバにいる間中、フリーダムのことばっかり心配してたじゃない」
「ビョーテキだったよな」
「シンがフリーダムと必死に戦ってる時だって、私とレイの前で堂々と『キラー、キラー!キラキラーー!!』よ?
最初は何が光ってんのかと思ったわよ」
「そういやあいびきもしてたんだろ?」
「そうよ、この私がばっちり写真取ったもの。ダーダネルスで」
「・・・」
「キラ・ヤマトと」
もくげきしゃのしょうげん。
その名を耳にした途端、メイリン・ホークの顔は白く、青く・・・そして最後には紫に変わった。
「ち、違う!違う違う違うッ違うのよ、ちがぁーーーっう!!」
懸命に否定するメイリンに、シンとルナマリアは今度こそ眼を丸くした。
派手にぶんぶん振り回されたツインテールが顔にばしばし当たっている。
・・・別にそこまで必死にならなくてもいい気がするが。
「駄目よお姉ちゃん、そんなお・・・っ、恐ろしいこと言っちゃ・・・ッ」
「恐ろしい?」
「アスランさんの相手はキラじゃな・・・ッッッ!い、今の取り消し!キラサマじゃないのよ!」
「・・・」
「・・・」
もはや首を縦に横に振り、しゃがんだりくるくる回ったりするメイリンに、シンたちは圧倒されるばかりだ。
キラサマよりも、今ここにいるメイリンの方が恐ろしい。
「キラサマはアスランさんのオトコじゃないんだってば!だってすごくアスランさんのこと馬鹿にしてるのよ?
ロッカーの下着隠したり、ジャスティスのコード目の前で切ったり、
この間なんか昼寝してるアスランさんの顔に『ハゲ』だの『生え際』だの『ヘタレ』だの・・・それから」
「分かった!分かったわ、メイリン。もういいから」
ルナマリアは頭を抱え、妹の言葉を遮った。
何だか・・・自分たちの心まで痛かったから。
とりあえずフルーツパフェとカスタードプリンを追加注文してやり、メイリンを落ち着かせる。
そして自分たちは四杯目のコーヒーを飲み干し、改めて口を開いた。
「で?アスランさんのその相手がキラサマじゃなきゃ誰だって言うの?」
「・・・・・・・・・イザーク・ジュール隊長」
2006/12/06
BACK ← → NEXT
NOVEL TOP