PHASE-18「タイトロープ」
「私はラクス・クラインです」
記者会見の席に立った桃色の髪の女帝は、飛び交う野次をものともせず、真っ直ぐ前だけを見据えた。
「私と私を支援してくださっている方々に対して、心無い噂があることは知っています」
野次の声がさらに大きくなる。
だがラクスの水色の瞳は揺るがなかった。
「今まで私は、その噂に対して発言を控えてきました。一部のテロリストによって不安に駆られる人々がいる今、事を荒立てるべきではないと感じたからです。しかし、今この場を借りて、私は明言いたします」
一瞬。
しん、とその場が静まり返った。
ラクスの言葉には不思議な力がある。
それによって、かつては誰もがそれこそが正しいと信じ、唯一絶対の道だと思い込んだ。
「『白夜』を名乗るテロリストと通じる裏切り者は、私の派閥の中には誰一人としていません。また、私がザフトの軍力を無意味に拡大しているという話も事実に反しています。私は最高評議会議長となってから今まで、プラントの為以外に与えられた権力を振るったことはありません」
『白夜』という名前をプラントの議長が口にしたのは初めてのことだった。
再び周りがざわつきだす。
ネットを中心にして流れ出た《ファクトリー》の情報によって与えられた不信感は、さすがのラクスの言葉をもっても拭いきれないのだ。
だが、ラクスはそんな些細なことなど気にも留めていないかのように言葉を続ける。
「『白夜』がザフトに与えた被害は次第に拡大し、未だに彼らの詳細は掴めていません。このままではいつ本国に被害が及ぶとも分かりません」
すぐ後ろにいたアイリーンが焦ったような顔をしてラクスに顔を寄せる。
あまり不安を煽るようなことを言わないようにと釘を刺そうとしたのだろう。
だが、ラクスの言葉は止まらなかった。
「必要とあらば、私は自ら先頭に立って戦うことも惜しみません。プラントは、テロリストには屈しません」
自室に戻ったタクトは、先程のシュミレーション機のデータが入っているチップをポケットから取り出した。
そしてベッドの上に腰掛けると、ノートパソコンを開いてチップを差し込む。
最初はバルフォアに厳命されて記録するようになった戦績だが、
《セラフィム》に戻ってからはコピーして自分で分析するようになっている。
もっと《ガーディアン》を使いこなせるようになって、力を手に入れたかった。
あのテロリスト「白夜」の理不尽な暴力が、タクトを力へとのめり込ませていた。
《クラフト・カオス》では、逃げることしかできなかった。
《ゴンドワナ》でも、連中を撃退したのはジュール隊の皆で、自分は守られていただけ。
せめて、自分自身を守れるくらいの力は純粋に欲しいと思った。
ほのかのこともある。
あの華奢でか弱そうな少女が、イザークを守ろうと敵に立ち向かっていった。
彼女が敵だなんて事があるはずがない。
一瞬、シュミレーションルームでのキラの顔が頭をよぎる。
彼はラクスを信じていない。
二人に勝手に憧れ、その関係を美化し過ぎていたタクトも悪いのかもしれないが、
かつての戦友、しかも一度は愛し合った人を信じられないなんてとても悲しいことだと思った。
でも。
「僕はほのかを信じる」
進路と速度は多少異なるらしいが、ほとんど日を置かずして《セラフィム》と《ヒュペリオン》は本国に帰還すると聞いた。
次に会えるのはプラントだ。
真っ先に彼女に会いに行って、強くなった自分を見てもらおう。
そう決めていた。
C.E.79 3月31日 プラント、アプリリウス市。
ジュール隊の旗艦《ヒュペリオン》は、ほぼ二ヶ月ぶりの本国帰還を果たすことになる。
「白夜」と名乗るテロリストの襲撃を最も多く受け、そして最も被害を最小限に抑えた隊は、疲労困憊していた。
本来《ゴンドワナ》で受けるはずだった補給と修理も半分も進まず、戦闘を幾つも経た艦はぼろぼろだ。
「じゃあシンとルナマリアはここに残るんだ?」
そう言いながら自販機から取り出したコーヒーを手渡すリュカに、ルナマリアは頷いた。
「いくら補給と修理をここの整備に委託するって言っても、関係者が誰もいないとまずいじゃない」
「親御さんには?」
「電話で充分よ。妹は頻繁に帰ってるみたいだし」
ルナマリアはそうぼやきながら受け取ったコーヒーをあおる。
家族のいないシンを気遣っているのは明白だったが、リュカは敢えて触れなかった。
「艦長、副長、それからジュール隊長も留守にするわけだから…シンと私だけでもいないよりはマシよ」
「俺と親父は一日で戻ってくるよ。お袋の墓参りだけだからな」
「もっとゆっくりすればいいのに」
「そういうあんたらも、一日くらい外に出て羽伸ばしてくれば?公認の仲なんだし、デートしたって誰も文句言わないぜ」
「いつも一緒にいるもの。それだけで充分よ」
「ふうん」
そういうもんかね、と呟いたリュカは視線を宙に泳がす。
すると。
窓の外にちらりと見慣れた白い軍服姿に目が留まった。
イザークだ。
議員服をまとった、妙齢の女性となにやら話し込んでいる。
「あれ、ジュール隊長じゃん。隣にいるのは…」
「ルイーズ・ライトナー議員じゃないかしら」
「みたいだな」
ユニウス市代表を務める女性議員だ。
イザークの母親も同期に議員を務めていたことがあり、面識があるらしい。
「もしかして、隊長はライトナー議員に頼むつもりなのかな?」
「頼むって?」
「水色のお姫様だよ」
「ああ、ほのかのことね」
ゴンドワナ襲撃の際に何が起こったのかは、ルナマリアも知らない。
だが、イザークはほのかをただの民間人として移民施設に送るべきではないと思っているようだった。
かといって謎のテロリストが暴れている今の時期に「捕虜」としてしまえばどんな酷い扱いを受けるかもしれない。
こうした場合、政界にある程度顔のきくイザークが取る行動はおのずと限られてくる。
だが。
「ライトナー議員はないわね」
「なんで?」
きっぱりと否定されむっとするリュカだが、よく見なさいと言われて向かい合っているイザークとルイーズへと目を凝らす。
「なんか隊長押されぎみだな」
「何度目かしらね。ライトナー議員からのラブコールは」
「はい?」
「軍人辞めて、議員になれってかなりしつこく突かれてるみたいよ。お母上の跡を継ぎなさいって。
隊長ってばセレモニーとかであの人と顔合わせるのすごく嫌がってるし、その度に逃げ回ってるもの」
「へぇぇ」
言われてみればなるほど、ルイーズが何か一方的に迫っていて、イザークはしきりに首を振っている。
表情までは分からないが、ルナマリアの言うとおりなら押しの強いルイーズによほど困っているのか。
「それにライトナー議員はあまりナチュラルに好意的じゃないって聞いたことがあるし。ほのかのことを任せるとは思わないわ」
「そうか」
空になったコーヒーの缶を弄びながら、いまだルイーズを振り切ろうとしている気の毒な上司から目をそらす。
そういえば、妻を亡くしてから私用ではほとんど艦を降りなくなっていたイザークが、珍しく外出の用があると言っていた。
それでもルナマリアとシンだけに艦を任せておくのは不安だったのか、リュカとアランの予定を詳しく聞いていたが。
入れ違いに出るのだろう、おそらくはほのかを連れて。
ルイーズを頼らないとすれば…ミンシアの父親で親ナチュラル派のコウイチ・アボット議員だろうか。
いや、イザーク個人は彼とはさほど親しくなかったはずだ。
彼自身が文官時代だったときの知り合いもナチュラルにあまり好意的でない者が多いだろうし、何より微妙としか言いようのないほのかの身柄を保証するほどの力はないだろう。
親ナチュラルで、イザークと親交があり、さらにそれなりの地位を持つ政治家となると…。
一人しかいないじゃねぇか。
べこり、とリュカの指が無意識に缶を歪ませた時。
窓の外の押し問答はとっくに終わっていた。
『ハロ、ゲンキ!ハロ、ラクス、ハロッ!』
『オマエモナー!』
『テヤンデェ、テヤンデェ、アカンデーッッ』
久々に電源を入れた途端、ぴょんぴょんとせわしなく飛び回る丸いハロたちを、ラクスは無感動に見やった。
かつて20体ちかくいたハロたちはほとんど処分してしまい、今はもうこの三体しか残っていない。
この三体は特に愛着のあるものだったため、何となく捨てられずに部屋の片隅に置いていた。
生き人の作り笑いにうんざりしていたために機械の声でも聞けば気が休まるかと思ったが、何だか逆にむなしくなっただけだ。
ラクスはため息をつくと結局三体全ての電源を落としてしまった。
最高評議会議長に選任されてから五年。
今までで一番酷い議会だった。
平和の為と思って《ファクトリー》に作らせていた《ガーディアン》の存在を、こぞって非難された。
自分を追い落とすことしか考えていないライトナーやアボットは、ここぞとばかりに自分を攻撃する。
五年前、プラントとやむなく敵対したことまで蒸し返された。
どうして自分だけがこんな目に会わなくてはならないのだろう。
五年前、デスティニープランに立ち向かった時とは違う。
今のラクスは一人きりだった。
身勝手なアスランは行方が知れない。
バルトフェルドは老体を理由に隠居を決め込んで助けてくれる気配はない。
ヒルダ、マーズ、ヘルベルトのドムパイロットたちは逆に「ラクス様のために」と声高に叫びながらテロリスト殲滅を主張し、手綱を引いておくのが難しいほどだ。
キラに至っては、自分に敵意を向ける始末。
どうして?
どうして自分だけが?
どうして、「正しいことをしている」自分だけが。
その時。
ピーピーと鳴り響いた内線のコールに、ラクスはうんざりと顔を上げた。
居留守を使いたいくらいの心境だが、今はこの執務室で仕事をしていることになっているのでそうもいかない。
見れば受付のオペレーターからだった。
少し考え、ラクスは音声だけをオンにする。
「はい」
『議長閣下宛てに、個人通信が入りました』
「お断りしてください。伝言があったら預かって…」
『はい。ですが、その…』
「何ですか?」
よほど相手がせかしているのか、あるいは評議会議員の誰かが直接出てきたのか。
小気味よいとはいえないオペレーターの声に、ラクスはいらついて机を指で叩いた。
「どなたからの通信ですの?」
『ジュール隊隊長、イザーク・ジュールと名乗っております』
「…」
こつこつと机を叩いていた音が。
止まった。
「イザーク様?」
『はい…。はい、今《ヒュペリオン》のコードを確認しました。イザーク・ジュール隊長です』
お繋ぎしますか?
というオペレーターの言葉に。
もちろん、と打って変わった弾んだ声で応えていた。
通信画面を通して現れたイザーク・ジュールは少し顔色が悪かった。
報告で彼が怪我を負っていたことを思い出し、ラクスは緩んでいた口元を引き締める。
「イザーク様、お久しぶりですわ。ご無事で何よりでした」
『ありがとうございます。議長閣下』
「私の元に《ゴンドワナ》襲撃の報が来たのは全てが終わった後でした。何もお役に立てず、申し訳なく思っております」
『いいえ。あれは完全に軍の不手際です。モートンもそう言っていました。謝罪するべきはこちらです』
「お怪我の具合はいかがですか?心配しておりました」
胸元で手を組み、悲痛な顔で相手を気遣えば、大したことはありませんっ、という焦った声が返ってきた。
そういう反応がいつも素直なため、ラクスはイザークのことが好きだった。
ディアッカからも自分のファンだったという話を聞いたことがある。
以前話す機会に恵まれた時にさりげなくそのことを口にしてみたら、イザークは赤くなったり青くなったりで可哀想なくらいだった。
既婚者ということで一定の距離は置いているものの、プラントでラクスとの良好な関係を保ってくれているのは側近のアイリーンや部下のダコスタ以外ではイザークくらいだ。
だからこそ、今この時に彼が自分に話しかけてきてくれたことが嬉しかった。
「《ヒュペリオン》も修理中との事ですし、隊にはしばらく任務はないのでしょう?」
『はい、あの…』
「でしたら一度、お食事でもご一緒しませんか?一日くらいお休みは取れるでしょう?」
『…議長』
「ああ、実は先日エルスマンご夫妻とお会いしましたの。二人ともまだプラントに…」
『ラクス・クライン』
「はい?」
言葉を遮られ、ラクスはきょとんとして画面の向こうのイザークを見返す。
何だか、最初よりずっと疲れた顔をしているのは気のせいだろうか。
『実は、ご相談があって連絡差し上げました』
「相談?私に?」
わざわざ聞き返せば、イザークは律儀にも「そうです」と頷いた。
『こちらの都合で申し訳ないのですが、三日後に行政府で直接会っていただけませんか?』
どういうことですか?と首を傾げて聞き返してきたラクスに、イザークは長いこと艦の居候となっている水色の少女のことを語り始めた。
イザークが通信を切ると同時に、床に座り込んでいたほのかがひょっこりと顔を出す。
「おい、こら」
「見せて、見せてよ!」
イザークが体をずらせば、キーボードを勝手にいじって今の通信のメモリ画像を覗き込み始めた。
もはや手錠にも慣れたもので、意味を成しているのかどうかよく分からない。
むしろ以前よりずっと元気に部屋を駆け回っている。
本当に牢に繋いでやろうかこのクソガキ…と物騒なことを考えていると、今度は両手で服を引っ張ってきた。
「ッ、お前なぁ」
「このピンクの人と話してたの?この人と会うの?だあれ?」
「ぴんく…って、知らんのか?」
ラクス・クラインを知らないなんて、と思ったが、彼女の画像を指差しながら尋ねてくるほのかは真顔だ。
プラントを攻撃するテロリストのパイロットだったのならその指導者の顔くらい知っているものだろう。
本当に訳の分からない娘だ。
「ねぇ、誰?」
「プラントの議長だ」
面倒なので簡潔に応える。
「偉いの?」
「まぁな」
「イザークのお友達?」
「顔見知り程度だ」
「…」
「何だよ?」
「この人、嫌い」
「はあ?」
この少女は親切にされれば誰にでも懐くのだろうという勝手な思い込みをしていたイザークは、会ったこともない相手を「嫌い」と言い切ったほのかに頭を抱えた。
「勘弁してくれよ。この人にお前のことを頼みにいくんだ」
「嫌いなものは嫌い」
「わがまま言うな、良い方だ。皆に尊敬されているしナチュラルに偏見もないからお前の身柄も引き受けてくださる」
そもそもラクス・クラインを嫌っているという人間にお目にかかることの方が珍しい。
政治的思想の違いから彼女と敵対する者こそあれ、強い意志を持つ桃色の美姫自身は男性はもちろん女性にとっての憧れでもあった。
彼女がプラントの最高評議会議長に就任した時、民衆の誰もがプラントの未来は明るいと確信した。
自由を虐げる悪しきデスティニープランを独裁者ギルバート・デュランダルごと叩き潰した彼女は救世主だったのだ。
イザークもそう信じたからこそ、あの日《ネオ・ジェネシス》を地球に向けたデュランダルを見限った。
だが、今は。
ラクスが苦境に立たされていることはイザークも知っていた。
あの記者会見を見た時は、いつになく焦っていることを感じ取ったりもした。
―――必要とあらば、私は自ら先頭に立って戦うことも惜しみません。
あれでは例の「クライン派黒幕疑惑」を煽るだけだというのに。
イザークがそんなラクスの元にほのかを連れて行く決意をしたのは、ほのかの身の安全はもちろん、彼女の存在がラクスに向けられた疑惑を突破できるのではないかと思ったからだ。
ほのかは洗脳されている形跡はないし、今までの言動や《ゴンドワナ》一件を考え合わせても「白夜」に未練はないようだ。
プラント内の本当の内通者を割り出せるかもしれないし、そうでなくとも牽制できる可能性はある。
無論、それはラクスの手腕にかかっているのだが。
イザークはまだ期待しているのだ。
戦場で日に日に血に染まっていく自分ではなく、ラクス・クラインこそがプラントをより良き方向へ導くことを。
「そういえば、三日後までにお前の服をどうにかしないとな」
「服?着替えるの?」
ほのかがワンピースのすそを掴んでひらひらさせる。
およそ淑女とは思えぬ行為にイザークはもう突っ込むこともできずにただ目を逸らした。
そもそもどうして自分に懐くのだ、この娘は。
ルナマリアの方がよっぽどかいがいしく世話を焼いているというのに。
「このワンピース、ルナがくれたの」
「そうか。じゃあまたルナマリアに頼むか」
「ルナとはずっと会ってない。忙しいの?」
イザークは可愛らしく首を傾げて問う厄介者を横目で見ながら、「そりゃ暇じゃあないだろうよ」とため息混じりに呟いた。
キーロックが解除される電子音に、ベッドに寝そべっていたシンは視線だけを動かした。
否、視線だけしか動かせなかったともいえる。
彼の額には、タオルに巻かれた氷嚢が置かれていたから。
「どう?すこしは腫れ、ひいた?」
「多分」
ブラックコーヒーの缶を持って現れたルナマリアは、シンのすぐ脇に座りタオルごと氷嚢を取り去る。
あらわになった額は、氷嚢を置いていたにもかかわらず僅かに熱を持っていた。
「まったく、あの騒ぎの後だからってぼーっとし過ぎよ」
「ごめん」
「大丈夫なの?」
「うん」
「たんこぶの方じゃないわよ?」
「…」
ルナマリアが心配するのも無理はない。
《ゴンドワナ》で「白夜」と思われるテロリストに襲撃された事件以来、シンの様子は明らかにおかしかった。
無口でぼんやりしている感のあるシンだが、それでも与えられた仕事に関しては今まで完璧にこなしていたのだ。
それが連絡ミスの連発に始まり書類の取り違え、三日前は会議の時間を間違えて通達し、イザークと艦長のアランまで事態の収拾に走るというちょっとした騒動にまで発展してしまった。
極めつけは、今朝の事故だ。
まあ、事故というには少し大げさだが。
それでも壁にシンが顔面衝突(もちろん無表情で)したのを目にした時は、さすがのルナマリアも気が触れたのではないかと肝をつぶしてしまった。
「レイのこと、考えてたの?」
「うん。…ううん」
「どっちよ」
呆れ混じりの、けれどあやすようなルナマリアの声に、シンは安心したように微笑む。
ルナマリアはシンの甘えたようなこの笑顔が好きだった。
「声が、似てたんだ」
「そう」
「髪も金色で…顔は分からなかったけど、あの時は絶対にレイだって思った。生きてたんだって…」
「…」
「でも、やっぱり違うのかも」
「どうしてそう思うの?」
「俺のこと分からないみたいだったし。それに…上手く言えないけど、やっぱりレイとはどこかが違うんだ」
「そう、ね。だってレイなら、シンを撃ったりなんてしない」
ルナマリアの言葉に、シンは無意識に足の傷を撫でる。
レイの声を持った、バイザーの男に負わされた傷だ。
よけるのは容易かったが、あの時のシンにはそれができなかった。
「そうだよね、レイじゃないよね」
その傷ごと肌に爪を立てようとしたシンの指を、ルナマリアは優しく制する。
指先が絡み合い、やんわりと互いの熱が伝わった。
「レイじゃない。レイは…もういない」
「シン」
「レイはいない。でも、ルナがいる。それでいいんだ。それだけで」
そう自分に言い聞かせて。
シンは自分の世界を閉じていく。
彼の心が海に浮かぶ孤島であるなら、そこに踏み入っていいのはルナマリアだけ。
ジュール隊の仲間も、今なお自分たちを気遣ってくれるヴィーノでさえも、
彼にとっては海を隔てた向こう側にいる存在なのだ。
「ルナさえいてくれれば…それでいいんだ」
それ以上は、求めてはいけない。
求めすぎれば、掴んだ指の間からさらさらと大事な命が零れ落ちてしまうから。
かすり傷同然の銃傷の痕は、消える気配がなかった。
C.E.79 4月3日 プラント制宙圏、「白夜」の旗艦《バサラ》
ケインは握っていたナイフの刃をぺたりと腕の皮膚に貼り付ける。
合わない焦点で鈍い銀色に光るそれを覗き込んだ。
タクト・キサラギ。
銀髪の男。
ほのか。
「!!」
ぎりっ、とナイフを持つ手が震えた。
同時にじんわりとした痛みが腕に走る。
頭の中をあの時の出来事が駆け巡った。
ほのか。
やっと戻ってきたと思ったのに、あの二人に連れ去られてしまった。
彼女は自分だけのものなのに。
彼女が、ほのかがいなくては。
再び腕に力が入る。
ほのか、どうして自分のもとに戻ってこない?
お前はここにいるべきだろう!
あんな男や餓鬼の傍ではなく、自分の…。
ぐっ、と。
手をナイフごと掴まれた。
はっとして顔を上げればジェットがいつの間にか目の前に立っている。
「ジェット」
「よせ。意味がない」
ナイフの刃がジェットの指に引っかかり、その皮膚を裂いた。
それでもかまわずジェットがナイフを引こうとするため、思わずケインは腕の力を緩める。
ジェットはすかさずナイフを奪い取り、血が滴る己の手の中に収めた。
「そんなに辛いなら、記憶操作を受ければいい」
「嫌だね」
「何をこだわっている?」
「あの坊主と、銀髪の顔を忘れるわけにはいかない…ぶっ殺すまでな」
「その傷もか?」
畳み掛けるように言われ、ケインは無意識に左頬に手をやる。
左顎から左目ぎりぎりにかけ、無残な切り傷が縦一線に真っ直ぐ伸びている。
《ゴンドワナ》でイザークに負わされた傷だった。
簡単な処置をしただけなので、傷は手術でもしない限り消えないだろう。
傷を受けた時の屈辱を思い起こして震えているケインをジェットはしばらく見つめていたが、やがて息を吐く。
無言のまま電子モニタに近づくと、ポケットから取り出したソフトを差し込んだ。
「移動だ」
ぴくりとケインの身体が反応する。
調教されただけあって、上からの命令と判断すれば彼は己の意思と関係なく集中力を向けてきた。
見ているジェットとしてはほっとする一方で、彼が哀れに思えるがどうすることもできない。
「こんな場所に?この時期に?」
「先日ラクス・クラインが行った記者会見を見たか?」
「まあな」
―――必要とあらば、私は自ら先頭に立って戦うことも惜しみません。
自分が手を下せば全てが解決できると思っている。
顔に似合わず傲慢な、そして浅はかな言葉だ。
人によっては勇気ある、魅力的な言葉に聞こえるらしいが。
「まさかラクス・クラインが率いた軍隊に討たれろなんて言うんじゃないだろうな?」
「いいや。しばらく身を隠せとのことだ。俺たちの役目はほとんど終わったらしい」
「…」
不満そうなケインの顔を、ジェットは敢えて無視する。
《ガーディアン》奪還から先日の《ゴンドワナ》襲撃まで、自分たちは失敗続きだった。
できたことといえば「白夜」というテロリストをアピールし、それに通じるプラントの裏切り者の存在を暗示したくらいだろう。
あまり不平を言える立場ではない。
だが。
「馬鹿な小娘が期待以上の声明を出してくれたから、仕事がやり易くなったらしい」
「なるほどね」
ケインは椅子に座ると、ようやくモニタ画面を覗き込んだ。
移動するよう指示されたポイントが赤く点滅している。
ジュール隊と、ディーゼル隊が管轄するフロンティア一帯の丁度中間に位置する場所。
フロンティア・シルベスタ。
「じゃあ後はここで待てばいいだけか。ラクス・クラインがテロリストの真の首謀者として堕ちるのを」
同時刻。アプリリウス市に停泊直後の《セラフィム》
「出撃命令?!」
ブリッジ内で素っ頓狂な声を上げたタクトを咎めるものはいなかった。
「そうだ。これから20時間後に《セラフィム》は出発する」
「そんな」
タクトが驚くのも無理はない。
ほぼ一ヶ月ぶりに本国に帰還したばかりのヤマト隊に、急遽出撃命令が出たのだ。
実はダコスタやメイリンはタクト以上に驚いていた。
キラ・ヤマトが率いていると言うことで特別視されることが多いこの隊にこの扱いは珍しい。
「援軍にはモートン隊の一部が参加する。中には旗艦の《ジュピター》も含まれるそうだから、充分すぎる戦力だろう」
「ちょ、ちょっと待ってください!出撃って…戦争でもないのに」
「そうだ。戦争じゃない。テロリストを殲滅するための軍事行動の一環だ」
「じゃあ、目的は『白夜』ですか?」
「あたりまえだろう?連合と戦うとでも思ったか?」
「そうじゃ、ないですけど」
タクトは口ごもる。
確かに『白夜』の身勝手で横暴で、しかも意味のない行動には憤りを感じる。
敵視するのは当然だし、攻撃されても仕方ないとは思う。
だが。
これまでのプラントの姿勢と今回の命令とは、決定的に異なることがあった。
「こっちからテロリストを攻撃するってことですよね?」
「そうだ」
「それってつまり、連中の居場所が分かってるってことですか?」
探るように言ったタクトに、ダコスタは息を吐く。
全く無知な子供ではなかったようだ。
「詳しいことは分からないが『白夜』が制宙圏のある場所に向かっていると言う情報があるらしい」
「あるらしいって…」
今まで奴らは神出鬼没だった。
それが前線を跳び越して軍の内部から居場所を特定したということか?
ありえない。
「それ以上のことは聞かされていない。とにかく、第一級戦闘体制を敷いて指定されたポイントへ迎えとの命令を議会から受けただけだ」
ダコスタも同じ気持ちなのだろう。
難しい顔をしていたが、出撃命令が下された以上は逆らえない。
それが軍人だ。
「その場所は?」
「フロンティア・シルベスタ」
「モートン隊からの情報、か」
キラは差し出されたティーに口をつけることもせず、腕組みしたまま唸った。
帰国直後の出撃命令には驚いたが、
テロリストの居場所がモートン隊に拘束されていた捕虜からの情報だと聞いてようやく自分を納得させる。
それは今目の前にいるラクスも同様なのだろう。
スチュアート・モートンはそれだけ信用がある。
「それで、今度こそテロリストを徹底的に叩けって事だね」
「彼らは危険です。プラントとしてはこれ以上手をこまねいていられませんから」
それはそうだろう。
キラは顔を伏せて彼女への哀れみの眼差しを隠す。
先日の記者会見であんな宣言をしてしまったのだ。
よほど焦っているのだろう。
「僕たちじゃなくて、君が行けばいいじゃない。《エターナル》はまだとってあるんでしょ?」
「…キラッ」
「君が先頭に立てば、皆喜んで命を投げ出すよ。そう思ってたから記者会見であんなこと言ったんじゃないの?」
「キラ」
すがるような水色の瞳から目を逸らす。
演技だ。
ほだされてはいけない。
「あなたの力が必要なのです。プラントの平和のために、協力してください」
「力…平和のためには力が必要、か」
「そうです。私の『思い』と、あなたの『力』で…」
「馬鹿言わないでよ」
「!」
吐き捨てたキラに、ラクスは言葉を失った。
「いい加減にしてくれ。僕は君の道具じゃない」
ラクスの顔から一気に血の気が失せていく。
「私は…そんなつもりは…」
図星を指されたというよりも、そんなことを面と向かって言われるとは思いもしなかったという感じだ。
無意識だったのか、とキラは一瞬で悟り、同時にさらなる彼女への軽蔑が増した。
「キラ、私はあなたのことを」
「うん。愛してるって言ってたよね。僕もそうだよ。君の事を愛していた」
「ッ、ならっ」
「だから、許せなかった」
「…」
「僕は君を愛してたし、君も僕を愛してくれた。嘘なんかなかったよね?」
「キラ」
「でも、いつの間にか君は僕に力を要求するようになった」
違う、と。
ラクスは乾いた声で呟いた。
違わない、と。
キラは静かに言い放った。
「君は意識しなくても、そう要求していたんだ。今だってそうだろう?力がなかったら君の傍にいられない」
―――あなたの力が必要なのです。
―――私の『思い』と、あなたの『力』で…。
「私は」
「うん、仕方ないよね。君はプラントの議長だもの。そして僕は《フリーダム》のパイロット。君だけが悪いんじゃないよ。僕も君を利用して今の居場所を手に入れた」
それなりに贅沢してるし快適だしね、と付け足す。
キラはとっくに気付いていた。
愛を語りながら相手に見返りを求めれば、それは濁っていく。
愛を求めているのか、あるいは見返りの方を求めているのか。
それらが曖昧になり、混ざり合い、再び取り出して見出した時、キラはラクスとの関係を終わらせる決意をした。
彼女のことを深く愛したからこそ耐えられなかった。
そして自分と違って気付く気配もなく、それどころか被害者気分に浸るラクスが疎ましくなった。
これがその結果だ。
ふと見れば、ラクスは青ざめたままだった。
唇が紫色になり、ぶるぶると震えている。
キラはそれを一瞥すると、ゆっくりと椅子から立ち上がった。
「戦ってくるよ。君がくれた『力』(フリーダム)で、君の『思い』のために」
「…」
「だから僕の『居場所』を守ってね?ラクス」
逃れることはできない。
有り余る『力』を持つキラの居場所を作ることができるのは、ラクス・クラインだけなのだから。
目の前に止まった自分専用の車に乗り込もうとしたキラは、道の反対側から歩いてくる男にようやく気が付いた。
ボディーガードに待つように言い、相手に手招きする。
自分と同じ白の軍服をまとった彼はザフトレッドの少年を伴い、キラの前に立った。
「お久しぶりです。モートン隊長、戻られていたんですね」
「ええ。二時間前に着いたばかりです」
「それはご苦労様でした。大変だったでしょう」
モートン隊隊長のスチュアート・モートンは、テロリスト『白夜』に対抗するため前線で指示に当たっていたはずだ。
てっきり次に会うのは今回の出撃命令に基づく共同作戦の時だと思っていたキラは軽く驚く。
それを口に出して言えば、モートンは大したことではないと笑った。
「今回の作戦のための隊を編成し直そうと思いましてね。何しろうちの隊は戦闘経験が少ない。ヤマト隊の邪魔になってはいけませんから」
「経験で言うなら、うちの隊だってそうです。この間の戦闘でも演習の経験が全く生きていないと副官が嘆いていましたし」
「一度戦場を経験してしまえば大丈夫ですよ。なにせ指導者が優秀ですからな」
「そんな…」
モートンはあまりもったいぶらず、さらりと世辞を口にする男だ。
キラはそんな彼と会話をするのは嫌いではなかった。
いつも笑みを顔に張り付かせているヤン・ディーゼルや、逆に鋭い瞳で睨んでくるイザーク・ジュールよりはずっと居心地のよさを感じさせる人だ。
「クライン議長とお会いになっていたのですか?議長はなんと?」
「テロリストを討ちにいけと。ただ、それだけですよ」
平静を装ったつもりが、思わず顔が歪んでしまった。
キラは内心で舌打ちするも、モートンは気が付かなかったのか淡々と言葉を繋ぐ。
「最近のラクス姫は焦っておられるようですね。ヤマト隊長のお気持ちを気遣う余裕がないほど」
「いえ、僕は…」
「テロリストに断固とした態度を取るのは当然ですが、少し過剰反応し過ぎな印象だ。噂のせいかな?」
「そうかもしれません」
重々しい声音でキラがそう応えると、モートンはそれ以上同じ話題を続けようとしなかった。
「お引止めして申し訳ない」
「いいえ。作戦開始は15時間後でしたね。その時は宜しくお願いします」
モートンはキラの肩を軽く叩くと、行政府ビルの入り口へと歩いていく。
後方に控えていたザフトレッドの少年も、敬礼をしてその後を付いていった。
キラは二人の後姿を見送り、再び車に乗り込もうとしたところで、ようやくザフトレッドの少年に見覚えがあるのに気付いた。
ほんの数日前にあったばかりの…。
「ジュール隊の子じゃなかったっけ?」
タクト・キサラギと《ガーディアン》の引渡しの時に、ブリッジまで挨拶に来たザフトレッドのうちの一人だ。
どうしてモートンと一緒にいるのだろう。
一瞬考え込むも、あまり自分の記憶力に自信があるわけではない。
結局キラは見間違いだと決め付けることにし、車の窓に映る風景に意識を飛ばした。
C.E.79 4月4日 アプリリウス市停泊中のヤマト隊旗艦《セラフィム》
タクトは機械の中に入り込んでいる錯覚に陥っていた。
レバーを握っている自分の手の感覚はあるし、視界もコクピットを捉えているのだが、不思議と意識が持ち上がり、その分体中の神経が研ぎ澄まされている。
訓練に比例し、《オプティマス》を起動して《ガーディアン》を動かせば常にその感覚が付きまとうようになていった。
ピー、ピー。
敵機を知らせるアラームが鳴る。
だが、タクトはその警告音の前にそれらを認識していた。
「敵機確認。認識コード不明の《ザク》3、同じく《グフ》1。艦影も確認」
ただ口に出しているわけではない。
同時に敵の位置と距離、そしてそれを倒す為の手順をシュミレートする。
ここまではパニックも起こさずできるようになっていた。
三秒に満たない思考が終了すると、タクトの意思を組んだかのようにオートロックウィンドウが降りてくる。
飛び回るMSを目で追えば、ロックポイントもウィンドウ内のMSを追いかけた。
ピピッ。
ポイントうちいくつかががイエローからオレンジに変わる。
「《ザク》3の補足成功」
《グフ》はさすがに機動力が違う。
とりあえず《グフ》は後回しにし、ロックに成功した三機の攻撃を即決した。
背中の《アーセナル》を展開しザクに一斉射撃、同時にブラストキャノン《セイレーン》で後方の艦に向けて発射する。
ビームは指示された方向へと正確に突き進み、敵機に命中した。
「《ザク》二機の撃破を確認。もう一機は、ちっ、シールドで持ち堪えたか。敵艦も大したダメージなし。距離が遠過ぎるかな…」
もう少し踏み込んでから攻撃に及んでも良かったかもしれない。
すると《ザク》は敵艦の方へと後退し、逆にグフはビームソードの《テンペスト》を構えて接近してきた。
「やってみるか」
正直接近戦は得意ではないが、いい機会だ。
タクトも《ガーディアン》にビームサーベルを構えさせる。
敵艦との距離に気を付けつつ、接近してくる《グフ》のライフルをシールドで防いだ。
「!!」
ガインッッ。
横一線に払われた攻撃を見切ってシールドで受け止める。
同時にビームサーベルを突き出した。
だが相手に上手くかわされ、思わず舌打ちする。
「素直に当たれッ!」
《テンペスト》を受け止めていたシールドで、敵の本体ごと押し出すように振り払う。
相手は僅かにバランスを崩し、コクピットが眼前に映えた。
だがサーベルでは届かない。
一瞬で判断し、手首に装備されたミサイル《ガルーダ》を乱射する。
これにはオートロックがついていないが距離が距離だったため、上手いこと推進剤を巻き込んで《グフ》は爆散した。
「よしっ」
達成感に思わず笑みが浮かぶ。
次は艦としとめ損ねたザクだ。
そう思ってレバーを握りなおした時。
ぶつんっ。
「…あーーーー!」
一瞬にして画面が真っ暗になり、タクトは間の抜けた声を上げる。
顔を上げれば思った通り、引き抜いたケーブルを手にしたヴィーノが上から覗き込んでいた。
タクトは頬を膨らませる。
「何てことするんだよ、ヴィーノ。っていうか、最中にケーブル引き抜かないでよ。《オプティマス》がイかれたらどうするの?」
「それくらいでイかれたりなんてしないよ。お前こそ、勝手にシュミレーション機からケーブル引っ張るな」
ヴィーノはケーブルを持った腕をひらひらさせた。
タクトはシュミレーション機と《ガーディアン》のコクピットをわざわざ繋いで演習をしていたのだ。
シュミレーション機の存在意義を徹底無視している。
「だって、実際にこっちでやらないと感覚つかめないんだもん」
「じゃあシュミレーション用のソフトをそっちに組み込めばいいだろ?できなかったら俺がやってやるから」
「駄目駄目。これ以上《ガーディアン》の要領増やせないの」
「なるほど」
すっかり与えられた機体に詳しくなったタクトに失笑しつつ、ヴィーノは肩をすくめる。
まあ、ナチュラルだからといってここまで時間をかけて何も身に付いていないようでは困るけれど。
「せっかくいい所だったのに。ヴィーノのせいだからな」
「愚痴ってる暇があったら着替えて来いよ。キラ・ヤマト隊長殿が戻ってきたぜ」
「本当?」
キラの名前にタクトは大きな瞳を瞬く。
だがそこには以前ほどの絶対的なものを見るかのような色は薄れていた。
それに気付いているのかいないのか、ヴィーノはケーブルを未だに弄びながら宙を仰ぐ。
「やっぱり本気でテロリストを叩くんだな」
「そうだね」
「大丈夫なのか?気負ってるみたいだけど」
「…」
色々言い返したい気もしたが、ヴィーノが気遣ってくれているのを感じ取り「平気だよ」と一言だけつぶやいた。
そうだ、平気だ。
怖い思いなら散々した。
本当に殺されそうになったこともあった。
必要なのはそれを跳ね除ける力。
今現在、パイロットとしての腕を上げることは自信をつける唯一の方法だった。
「だいじょーぶっ!」
タクトは今度はにかっ、とヴィーノに笑いかける。
そして着替えるべく、コクピットから飛び降りた。
2010/01/01